FFサイドターン&受験生頑張れブログ
お久しぶりです、4年の吉原です。4年と言ってももう自動車部ではOB扱いなのでこのブログが最後の記事になるでしょう。さて、受験生応援ブログと名乗っていますがブログを読んで実際に自動車部に入ってくれた人は観測史上一人しかいません。受験生には需要があるかもわかりませんが、FFのサイドターンに関してはネット記事が少なく、需要が多少はあると思います。去年も受験生応援と謳ってサイドターンのブログが書かれていたので今年も書きます。
サイドターンは180度や360度など細かいターンで使われる技です。サイドターンを使うことで車の最小回転半径の限界を突破して小回りすることができ、ジムカーナをやる上での必須テクとなります。しかし、このテクニックの習得は意外と難しく、自動車部1年目の課題は「サイドを100%の精度で決められるようになる」というものでしょう。現在受験生の皆さんはサイドターンのやり方を今のうちから習得し、新歓などで「え、実車に乗ればサイドターンなんて簡単ですヨ」とイキリましょう。
この記事ではFFのサイドターンについて書きますが、今この記事を読んでいる受験生諸君は「前輪駆動とか車じゃないし」とか、「FRこそ至高」と思っているかもしれません。しかし、ほとんどの大学自動車部において部車はFFですので、自動車部に入ったら練習でも大会でもFFに乗ることになります。FFの乗り方は覚えておいて損することは絶対にないでしょう。
サイドターンの操作
FFにおいてサイドターンはブレーキング、ステアリングを切る、サイドブレーキを引く、アクセルを踏んで脱出、という操作でできます。それぞれの操作を分解してその意味を理解することが上達への鍵です。一つずつ見ていきましょう。
ブレーキング
ブレーキングには2つの役割があります。「速度を落とすため」と「前タイヤに荷重をかけるため」です。車速を落とすというのは分かるでしょう。オーバースピードで周れないのはレースゲームなどで学習済みだと思います。もう一つは「荷重」です。ブレーキを踏むと車全体が前にグーっと傾きます。これが前に荷重が乗っている状態です。
この時、前のタイヤは地面に押しつけられることでゴムのグリップ力が一時的に上がるわけです。後輪では逆にタイヤが地面から浮き上がります。リアタイヤのグリップ力が低くなるので、この時にサイドブレーキを引くとリアタイヤがロックして滑り出します。しかし、これだけではサイドターンになりません。次の操作を見てみましょう。
ステアリングとサイドブレーキ
サイドターンでは横に荷重をかけることが重要になります。正確にはリアタイヤに横方向の荷重をかけることが重要です。ハンドルを切ると、車両は横にグイッと傾きます(ロールと言います)。これが横方向に荷重が乗っている状態です。横荷重をかけないでサイドを引いてもクルマはリアを引きずりながら真っ直ぐ止まるだけです。
さて、ステアリングを切ってからクルマに横荷重がかかるにはタイムラグが存在します。ステアリングを切った直後は前輪に横荷重がかかってクルマの前側がロールし、前側がロールしきった後に横方向の荷重がクルマのリア側に伝わります。ですので、ステアリングを切った直後はリア側にはまだ横荷重が乗っていないためサイドを引いてもクルマは回ってくれません。ワンテンポおいてリアに横荷重が載ってからサイドを引く必要があります。横荷重をかけながらサイドブレーキを引くことでリアはパイロンから見て外側に向かって飛んでいき、クルッと小さく回ることができます。
つまり操作としては、ブレーキングでリアの荷重を抜きながらハンドルを切って、クルマのリア側に横の荷重がかかったと感じたらサイドブレーキを引くことになります(サイドを引くまではブレーキに足を乗せて前後の荷重をコントロールします)。ケツを滑らせるにはリアの荷重が抜けている&リアに横方向の荷重がかかっていることが大事なのです。リアタイヤはロックしているのにターンできない(ロックした後輪がフロントタイヤの軌跡をなぞる)という人はこの部分ができていないと思います。また脚が柔らかいクルマはロール量が大きくリアに横荷重がかかるのに時間がかかります。逆に脚が硬いクルマ(主にジムカーナ車両)はハンドルを切ってすぐにサイドを引いても回ってくれます。
維持&脱出
無事にリアを滑らすことができてもそのまま何もしなかったらクルマは停止してしまいます。なので、ここでブレーキに置いていた足をアクセルに置き変えて車に進む力を加えていきます。タイミングとしてはケツが滑り始めたら、と言うよりケツが滑るのを予測してサイドを引いたらすぐにブレーキから足を退けてアクセルを踏み始めます。サイドターンの維持は「前のタイヤでリアタイヤを引きずり回す」ようなイメージです。ステアリングを切りながらアクセルを踏んでやることでクルマはパイロンの周りを周回するように進みます。車がコーナリングを続けている間は遠心力が働くのでリアは遠心力で外に引っ張られてロックした状態が続きます。前輪で内側へ内側へと回転しながら進み、リアをぶん回します。
リアは遠心力で外側に飛んでいこうとする&引きずられているのでアクセル量が足りないとクルマは必要以上に減速してしまいサイドターンが維持できなくなります。逆に、アクセル量が多すぎると前輪が空転してしまいクルマは進まなくなります。この限界はタイヤの銘柄で変わるので普段から本番に近いタイヤで練習する必要があります。
リアがグリップしてしまったら最小回転半径の壁にぶち当たるのでサイドブレーキは引きっぱなしです。サイドブレーキを下ろすとリアは外に吹っ飛んでいた状態からグリップ状態へと収束しようとします。360度ターンやそれ以上長くサイドターンする場合はずっと引いている必要があります。リアが外に膨らみ過ぎていて、このままだとオーバーステアになってしまう(回り過ぎてしまう)と感じたらちょっとサイドを下ろしてやって少し収束させてやりましょう。ちょうどよく収束したなと感じたらまたサイドを引きます。
脱出する時はサイドブレーキを下ろしリアタイヤが収束するのを感じながらステアリングも戻していき、アクセルを踏んで前タイヤの縦グリップを最大まで使って加速しましょう。
よくある失敗1 – キツいライン
後輩たちを見ていると侵入するラインがきついことが多いです。侵入でパイロンに寄り過ぎるとパイロンを通過する瞬間にハンドルをたくさん切らないといけなくなります。ハンドルをたくさん切るとロール量は大きくなってリアに荷重がかかるのが遅くなり、リアに荷重がかかる頃にはパイロンを通り過ぎてしまうといった風で失敗します。つまりサイドを引きたいタイミングでリアに横荷重がかかっていません。
解決方法としては外側から目指すパイロンへ、半径が徐々に小さくなるような螺旋を描くように侵入することです。横方向の荷重がじわじわと乗ってくれるのでサイドターンが成功しやすくなりますし、成功のキャパシティが広いです。
キツいラインでは上手くハマった時は速いでしょうが許容するタイミングがシビアですし、失敗した時のロスが大きいので自分はよく安定をとっています(脚のセッティングにも依りますが)。
よくある失敗2 – 維持ができない
180度ターンはギリ成功するけどそれ以上無理と言う場合、アクセルを踏むのが遅い or アクセルの量が足りないといった原因が考えられます。回転し続けないとリアタイヤは滑ってくれません。また、サイドが引きっぱではない、オーバースピードであるなどの理由も考えられます。
よくある失敗3 – 雑な進入
進入はサイドターンをしないコーナリングとほぼ同じです。めちゃくちゃ速いスピードでパイロンに突っ込んだり、細かく回ろうとしすぎてキツいラインで進入する人が多いです。先ずはサイドターンをしないで、8の字やオーバルを綺麗に回る練習をして、慣れてきたらクリッピングでサイドを引いて小さく回る練習をするのがいいと思います。
速度が乗っていない時のサイドターン
8の字ターンの2本目など、速度がノッていない場合のサイドターンの時に、ブレーキ、ステアリング、サイドと言った風に普段と同じ操作をしようとすると、前にも横にも荷重がかからずサイドターンを失敗することがよくあります。速度が乗っていない時は順番を変えて、ステアリングを切ってからブレーキをガツンと踏みましょう。すると、コーナリング中のブレーキで前はつんのめり後ろの荷重が抜け、リアには大きな横荷重がかかります。
さいごに
今年はコロナの影響で新人戦がなくなってしまいましたが、新人戦の1年生の部では特にサイドターンができるかどうかでタイムが大きく開きます。サイドターンが出来るかどうかは初心者の大きな壁です。今の1年生はたくさん練習いきましょう。自動車部に入ろうと思ってくれている受験生の皆さんは一瞬でサイドターンを習得しましょう。今回紹介したのは「サイドターンを成功させる」方法です。サイドターンを習得したら次は「速いサイドターン」の練習が待っていますし、ジムカーナではスピードの乗る外周の方がタイムに影響したりします。極めるには奥が深く、大学生活をかける価値のあるスポーツだと思います(ダートラの方がハッピーでエキサイティングで最高に面白いですが)。ぜひとも上手くなって選手にも選ばれて自動車部生活を楽しいものにして欲しいです。
自分が1、2年生の時は先輩方が身振り手振り腰をクネクネ振りながらドライビングのことを教えてくれたのですが、今年は対面でミーティングができなかったため、自分はその役割を果たせませんでした。この記事が今の1年や未来の部員の役に立ってくれたらと思います。
それでは、またどこかでお会いしましょう。