LOADING...

マツ耐in SUGO 参戦ブログ

こんにちは。主将の泉です。

今回は部の活動ではなく、有志で参加させていただきました「マツダ・ファンエンデュランス」(通称・マツ耐)第1戦の参戦ブログを書かせていただきます。

ことの始まりは、弊部OB・地頭所光選手より、スポンサーであるライソン株式会社のレーシングチーム・Team WRF(Wrigson Racing Factory)への参加オファーを部にいただいたことでした。

ぜひ参加させていただきたいと思い応募し、選考の結果、弊部新OB清水・神近の両名とともに、Team WRFの新メンバーとして加入させていただけることになりました。

Team WRFは、eモータースポーツ、実車レースともに活動する、若手のチームです。グランツーリスモの大会で入賞したり、スーパーFJに参戦する選手もいるなど、メキメキと実力を伸ばしつつあります。マツ耐には昨年度より参戦しており、ノウハウの蓄積を図っている最中であり、その過程に参加させていただけることを大変光栄に思っています。

またマツ耐は、マツダ車で参戦できる耐久レースです。日頃通勤買い物に使用している車両でも参加できるため敷居は低い一方で、レベルの高いドライバーも多数参加しており、ハードルの低さと高みを目指す難しさを両立したレースとなっています。耐久レースとしての特徴としては、レース中の給油ができない点があります。給油なしで2時間半のレースを走り切る必要があるため、燃費を考慮に入れたレース展開が求められます。

参戦車両:Team WRF ロードスター

Team WRFでは、NC型ロードスターを使って参戦しています。デミオなどの他の参戦車両に比べ、排気量が大きい分燃費が悪いため、全開走行はせず、いかに燃費を保ちつつペースを維持するかが重要になります。ちなみにこの車両は地頭所さんの元愛車とのことです。
また車両については、足回りとエアロパーツを除いてほぼノーマルのため、ノーマルクラスでの出走です。レギュレーション上タイヤも限定されておりハイグリップタイヤを使えるわけでもないので、限界を超えないよう気をつけて走る必要もありました。

参戦にあたって、事前にライソンのオフィスにて、地頭所さん監督のもとシミュレーターをつかってSUGOの下見走行をさせていただきました。自宅にグランツーリスモ6はあるものの、本格的なシミュレーターは初めてで、その操作感に慣れるところからまず大変でした。また、SUPER GTなどで見る映像とは違い、実際に走ってみると思いのほかコースが狭く感じられ、感覚を掴むのに苦労しました。

インターナショナルレーシングコース

スポーツランドSUGOは宮城県にある国際サーキットで、前述の通りSUPER GTなど大規模なレースも開催される名高いコースです。特徴はアップダウンの激しさ、そして「SUGOには魔物が住む」と呼ばれるように、その危険さです。今回はSUGOを走るのが皆初めて、そしてドライバー4名中3名はNCに乗るのも初めて、僕自身はサーキットも混走も初めての状態でしたので、まずは車を無事持ち帰り、タイムアップまで走り切ることを目標にしました。

とはいえさすがにぶっつけ本番というわけにはいかないので、事前に清水さんとともに埼玉県にある本庄サーキットへ試走に行きました。これが初サーキット体験、最初はおっかなびっくりでしたが次第にある程度踏めるようになりました。ジムカーナとはスピード域の高さ、コースの広さ、レコードラインなど、多くの違いがあり、また車両自体も乗り慣れたFFではなくFRだったため、感覚を掴む良い経験になりました。

2台のロードスターで本庄へ

そして迎えた本番。清水さんと2人でNCに乗り現地に前日入りし、”快活”に朝を迎えました。仙台は物価が安く、スーパーの割引寿司パックが10貫231円、トンカツ弁当162円だったのには驚きました。東京の物価からすると夢のようです。

自動車部員ならこの背景だけで場所を当てられることでしょう

ゲートオープンで列に並び、他メンバー、ライソンの二戸社長、コーチの地頭所さんと合流しました。
ところがさっそくタイヤ交換など整備を始めようと思ったところ、工具不足が発覚しました。まだできて間もないチームということもあり、連携不足が原因のミスをしてしまいました。なんとか事なきを得たものの、次回以降は万全の体制で臨みたいと思います。

そしてドライバーズブリーフィングを受けた後、午前の予選が始まりました。
今回は第1ドライバー:角間選手、第2ドライバー:清水選手、第3ドライバー:泉、第4ドライバー:永井選手の布陣で行くことにしました。予選のアタックドライバーは角間さんです。順調に良いタイムを出し10分で戻ってきてくれたので、残り3人が1周ずつ試走する時間ができました。
ハンドルを託されコースイン。すると後方からライトオンのアタック車両がものすごい勢いで矢の如く飛んできました。それに圧倒されたままウインカーを出し進路を譲り続け、自分がどれだけ踏めているかもよくわからないまま再びピットイン。混走の怖さを思い知りました。

サポートに来ていただいた地頭所さんと永井・清水両選手

予選終了後、給油の時間です。前述の通りマツ耐はレース中の給油ができないため、スタート前に極限までガソリンを入れておく必要があります。実はガソリンは普通に入れただけではまだガソリンタンクに余裕ができるため、エア抜きの作業が重要になります。NCの屋根を開けて4人で車を全力で揺らし、何度もガソリンを継ぎ足します。そうすることで、通常に入れた場合よりもさらに5Lほど多くガソリンを入れることができました。5Lのアドバンテージはなかなか大きなものがあります。

グリッドに着くNCとドライバーたち(装備一式新調しました!)

そして始まった午後の決勝。パレードランの後、ローリングスタートでレース開始です。角間さんは順調にタイムを伸ばし、5,000回転縛りの燃費運転ながら、1分50秒台という非常に良いタイムを残します。続く清水さんも初走行ながら1分53秒台をマーク。順調に進んでいましたが、途中で車内とピットとをつなぐ通話が断絶してしまいました。イヤホン周りで問題があったようで、これも要改善点です。

そして迎えた自分のスティント。緊張で足が攣りかけましたが、気合いを注入して出走します。かねてから心配していた混走ですが、コースインしてみると意外と空いていました。予選のアタック走行とは違い、どの車もある程度は燃費走行していることに加え、レースの進行に伴い車両がコース全体にバラけたのも理由のようです。何はともあれ、若干緊張を解いて走ることができそうな予感です。とはいえ最初は覚えたコースをなぞって走ることで精一杯、また回転数は気にしないで良いと言われた指示も脳内から吹き飛び、律儀に5,000回転リミットを維持して走行してしまいました。それでも次第にコースに慣れてきて、またエンジン回転も少し上乗せして走ることができるようになり、最終的には1分55秒台までは上げることができました。それでも燃費走行していた角間さんに5秒も負けているので、ますます練習を頑張らなければとの思いです。
1周しか走れなかった予選と違い、決勝は約30分間ずっと連続で走行します。何回も同じコーナーを通るたび、だんだんとペースアップできるようになってくる一方、リアが時々ブレイクしそうになり内心ヒヤヒヤもしました。とはいえほぼノーマルに近く、オーリンズの足回りも柔らかいセッティングのため、FF乗りでもある程度適切にリカバリーしながら走ることができました。
特に怖かったのは馬の背コーナー、そして最終コーナーです。馬の背はスピードが乗った状態からフルブレーキングするので、部車であるジムカーナ用DC2のように思い切りスピンしないか不安で、ほとんど街乗りブレーキのような弱い踏力でしかブレーキを踏めず、そこで大きくタイムロスしてしまいました。次回は車両のABSと己のスキルを信じ、もっとコーナー進入を詰めたいと思います。また、最終コーナーの上りでは、周回するたびにアウト側に膨らみ散っていくSUPER GT車両が脳裏をよぎり、悪夢をかき消しながら走りました。
スティント終盤になっても燃料が1/4以上残っていたので、むしろ使い切らなければ損だと思い、ある程度まで前回走行をして永井さんにバトンパスしました。

ところが永井さんが走り出して3周ほど経ったところで急にタイムダウン。その後はコンスタントに2分6秒程度を維持したままチェッカーとなりました。後から聞いたところによると、走り出した後にみるみる燃料計がエンプティに近づき出し、あっという間に給油ランプが点灯してしまったとのことです。車両には後付けの燃料計もつけていたのですが、表示データがおかしくなってしまったため純正の燃料計を信用して走行していました。今回は純正の燃料計もおかしな動きをしたとのことで、おそらくSUGOのアップダウンの激しさから、燃料タンク内のガソリンがずっと偏ってしまい表示値も狂ってしまったのではないかと思います。

チェッカーの瞬間!

それでも、何はともあれマツ耐最難関と思われたSUGOで無事に完走し、全員が目標の2分切りを達成してゴールできたことは大きな収穫です。初参戦ということもあり、レース後には多くの課題も見つかりましたが、次回以降の参戦で着実に改善し、またチームとしての戦闘力アップに少しでも貢献していきたいと思います。

右から角間選手、永井選手、清水選手、泉