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スイスポのLSDオーバーホール(ATSのカーボンLSDは至高)

こんにちは3年の海老原です。この度僕のスイスポzc32sのデフオーバーホールをしたので報告します。

今回のオーバーホールは下がってきたイニシャルトルクを上げることが目的です。1年前は顔を覗かせていたチャタリングが今となってはほとんど感じれないほどデフロックが弱まっていました。普段からデフを感じれなくてイライラしたのでデフを強めていきます。とはいえ360°サイドターンできるくらいのデフロックはしますけどね。9月には七大戦ジムカーナが控えているので、それに向けデフをバッチリキメていきます。

チャタリングがほとんどないLSDなんて存在しなくない?と思った方CUSCOのLSDしか知らないようですね…。僕のスイスポに入っているLSDはATSのカーボンLSDなのです。このデフは名前の通り、内部のプレートの一部がカーボン製となっています。カーボンは通常のLSDのプレートに使われる鋼(おそらくクロモリ)に比べて摩擦力が小さいです。その結果デフのつながりがマイルドになってデフロック力が以下のようになるそうです。

ATSさんホームページより引用

んん?ほんとか?途中で折れ曲がった不自然なグラフ。にわかに信じ難いですね。デフロックの力に上限があるようです。摩擦係数がある程度一定なら比例したグラフになると思うのですが。何はともあれ、その結果デフロック力が強くなりすぎず、デフが完全ロックとはならずにある程度左右が別々に動くことで、FF車ならコーナー進入のアンダーや脱出のオーバーが減らせるようです。うーん、ほんとか?これだけでも大きなメリットですが、さらにチャタリングやバキバキ音がほぼ無いという圧倒的なメリットがあります。チャタリングがないと街乗りでの不快感の低減はもちろん、スポーツ走行でもギクシャクしません。

もちろんデメリットもなくはないです。カーボンの摩擦力が小さいということは金属プレートのLSDと同等のデフロック力を得るために高めのイニシャルトルクをかける必要があります。そのため各種部品のヘタリが早かったり、イニシャルトルクの低下が早かったりします。とはいえ今度はデフのレスポンスは上がるというメリットが出てきます。その他のデメリットとしては価格が多少高額なところですね。僕は中古で安く買ったのでそれほどかかってませんが(そのくせに偉そうに批評していてすみません🙇‍♀️)。

これらのデメリットを差し引いても大きなメリットがあるすばらしいLSDです。ちなみに現在販売中のカーボンハイブリッドLSDの推奨イニシャルトルクは30~70kgf•mという脅威の値です。僕のLSDは旧型のカーボンLSDで20kgf•mくらいが推奨です。

このように理論的には怪しげな素晴らしいLSDですが、運転した感覚はというと文句のないくらい素晴らしいです。チャタリングの不快感は無くあたかもオープンデフのように動き、かといってコーナーの出口やサイドターンではしっかりデフロックが効きます。

このLSDを中古で買って自分の車に入れてから1年。ちょっとデフロックが弱くなってきました。ということでイニシャルを上げていきます。まずはイニシャル測定をしていきます。片輪を上げてドラシャを回す簡易測定で測ります。120Nm…うーん低い。CUSCOユーザーの方からすると十分なイニシャルに感じるかもしれないですがカーボンLSDからすると低いのです。

それではミッションをおろしてLSDを取り出していきます。一応5日間くらいで終わらせることを目標にしていきます(無謀)。

まずはドラシャを抜いていきます

・・・中略・・・

ミッションが開きました

デフが開きました

開けてみるとなんとびっくり、中のサラバネやプレートの配置が全く左右対称ではないのです。写真の上の方がデフの右側、下の方が左側なのですが、カーボンプレートはデフの左側のみに配置されていて右側はメタルのプレートなのです。サラバネについても左右で枚数違いました。

デフで左右非対称なのはなんとなく不自然に感じたのでATSに問い合わせました。問い合わせた結果、出荷時から左右非対称な設計なようです。びっくり‼️。前のユーザーの組み間違えじゃなくてほんとによかったです。親切に回答してくださったATS様ありがとうございます。

さて、次は各部品の洗浄に入ります。実は小生、1年前にLSDを組んだ時にミッション内に砂が混入してしまい(←ガレージが汚ないのが悪い笑)、ギアの入りが明らかに悪くなってしまったという恥ずかしい失態を犯しているので入念に洗浄しなければいけないのです。ということで灯油を使って入念に洗っていきます。灯油が濁るし、ようわからん黒いカスが少量出てきましたがカーボンのカスと信じることにします(反省が足りない)。一晩かけて乾燥した後、一度元の形に組んでイニシャルトルクを測定します。プレートの間にオイルをしっかり塗布しながら元通り組みます。

イニシャルの測定方法についてATSによると、ドラシャの形をしたものをデフの両側に差し、片側はバイスに固定、逆側はトルクレンチで測定できるように6角形の形状にする。とありましたがそんなSSTあるわけないし、自作するのも面倒くさいのでちょっと工夫して以下のようにして固定しました。

デフの両側にドラシャを差し、片方のドラシャを油圧プレスで固定します。もう片方のドラシャにセンターナットをつけてトルクレンチがつくようにします。センターナットが死亡する可能性がありますが、これ以外に方法が思いつかなかったのでこの方法で測定します(ナットは見た感じ死亡してませんでした)。噂によると数人がかりでドラシャを押さえつけるという脳筋な方法もあるらしいですね。

測定した結果145Nm…!?。簡易測定の120Nmを大きく上回る値です。あくまで簡易だったし、洗浄したら高いトルク出るのかなーと自分を理解らせて、次の工程に行きます。さてここからイニシャルトルクを上げていくのですが今回はシム増しで上げていきます。厚めのプレートに交換する方法も検討したのですが、プレートの破損等もないし何よりお高いのでシム増しで頑張ります。

ATSさんから直接購入したのですが、なんか錆びてない??しかもなんと1枚2000円!。ただの金属板に見えるのですがちょっと高いですね(ちなみにCUSCOさんのシムは1枚600円でした)。計3枚購入しました(中途半端)。このシムを1枚ずつ入れてイニシャルを測定します。

1枚目…145Nm(泣) 2枚目…155Nm(やっと上がった) 3枚目…165Nm(あんま上がらないな)

200Nmを目標にしていたのですが165Nmで終わってしまいました泣。ケチるのはよくないですね(CUSCOなら同じ値段で9枚買えたのになぁ)。ということでデフのオーバーホールは終わりです。ミッションを閉じていきます。

1年前にミッションに混入してしまったゴミ等をある程度拭き取ってから閉じます。灯油で洗浄できたのですが面倒臭い…というか七大戦まであまり時間がなかったので拭き取りで妥協します。ちなみに前回の反省からミッションの近くは土足で入らないようにしました笑

完成です。閉じて車に載せます。

途中まで作業は順調に進んでいたのですが、クラッチのエア抜きがうまく行きません。1年前も同じところで詰まり、またか…という感じです。1年前はレリーズ側から負圧でフルードを吸ったのですが、今回はその方法をしてもうまく行きません。マスターシリンダーの固着かなと思って中古品を購入しました。ところが交換しても変化なし😭。ふと「フルードがもしかして供給されていないのでは」と思い確認してみると…

ファッ!?リザーバタンクからフルードが出てこないではないですか💢僕の体内からスズ菌が一気に死滅していきます。この車はブレーキとクラッチのフルードのリザーバタンクは共用なのです。自動車メーカーの方々、クラッチフルードのリザーバタンクは別途設けましょう!さて、スズキがクラッチのリザーバタンクを用意してくれなかったのでこちらで一時的なリザーバタンクを作ってあげます。

すんなりエア抜きできました(あたりまえ体操)。これでようやく動きます。

一連の作業は10日で終わりました(クラッチの件がなければ6日で終わってたんですがね💢)。デフの慣らしをしていきます。ATSさんによるとデフの慣らしは距離ではなく左右輪の差動量が大事らしいです(高速道路走っても意味ないみたい)。ATSさんの教義通り、低速8の字を20~30回して慣らし完了です。余談だけどミッションの入りめっちゃ良くなった!

デフの効き最高です!もっとイニシャル高くてもいい気がしますがそれはまた今度やるとしましょう。アクセルを踏んでくだけで滑らかにデフが効いてくれます。バキバキしないデフを知っちゃうともうバキバキデフには戻れません。ちなみに慣らし後の簡易測定ではイニシャルは158Nmでした。多少慣らしで低下しますね。

これで今回のオーバーホールは終わりです。たまにはデフを手入れしてあげるのもいいですね。

あとがき

ミッション開ける重整備しましたが七大戦はG1クラス3位/19人…勝てませんでした。やはりパワーですね。ちなみに七大戦後にエアクリを変えたら5~10馬力くらい上がった気がします。少なくとも5万キロくらいは変えてなかったのでね。デフオーバーホールして頑張ったのがアホらしいです。